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貿易戦争は中米両国民にどれほど影響を与えるか

2018-07-19 09:49

米国のトランプ政権が今月6日、中国からの輸入品340億ドル(1ドルは約112.3円)分に25%の関税を賦課すると、中国はただちに対抗措置として、米国からの輸入品の一部に対する追加関税措置を北京時間の同日午後0時1分から実施すると発表した。中国商務部の報道官は、「米国は世界貿易機関(WTO)のルールに違反して、経済史上で過去最大規模の貿易戦争を発動した」と述べた。「環球時報」が伝えた。

▽中国には米国製品以外にもさまざまな選択肢

中国が米国からの輸入品340億ドル分に追加関税を課したことを受け、中国の消費者の中には、今回の貿易戦争が自分たちの日常生活にどれほどの影響を与えるかと懸念する人もいる。

「国務院関税税則委員会2018年第5号公告」を詳しく見ると、中国が追加関税を課した米国製品で消費者に直接影響が出るとみられる主なものには、農産品、自動車、水産品などがある。農産品には牛肉や豚肉などの食肉類が、水産品には主にタラやロブスターなどが含まれる。

米国産牛肉は昨年6月末、14年ぶりに中国市場に戻ってきたばかりだ。食肉類の貿易に長年携わってきた高さんは、「関税が米国産牛肉の輸入に与える影響は大きい。米国産牛肉は中国市場で競争力をほぼ失うだろう。豚肉も同じだ」と話す。だが米国産牛肉のこの1年間の輸入量は決して多くはなく、有名ECプラットフォームをみると、1万件を超える取引件数のオーストラリア産牛肉に対し、米国産の取引は2けたの規模にとどまっていた。

牛肉と同様、追加関税を課された他の米国産農産品も中国のごく一部の消費者に影響を与えるにとどまるとみられる。消費者にしてみれば、米国のワインでもロブスターでも、他国の商品という別の選択肢があるからだ。

中国が追加関税を課した米国産農産品の中で、最も重要視されているのは大豆だ。米紙「ニューヨーク・タイムズ」の報道によれば、大豆は中国が米国から輸入する農産品の中で総価格が最も大きい。中国の昨年の輸入量のうち約3分の1は米国産で、主に食用油の生産と家畜の飼料に利用されたという。

貿易の専門家は、「米国産大豆への課税措置が中国国内の物価をある程度引き上げることは確かだ。食用油の価格に反映されるほか、大豆を飼料とする豚肉製品にも影響が出るだろう。中国は対応するためにしっかり準備してきた。企業に輸入構造を調整し、他国・他地域産の大豆や大豆粕などの農産品輸入を増やすよう奨励してきた」と強調した。

商務部の報道官は、「米国が7月6日に追加関税措置を実施したため、中国は必要な対抗措置を執らざるを得ない。中国は報復措置として追加関税を課す米国産品のリストを制定する過程で、代替製品があるかどうか、貿易投資全体への影響がどうかという点を十分に検討してきた」と述べた。だが専門家からは、「中国の消費者への直接の影響は小さいかもしれないが、貿易戦争は中国の製造業企業の輸出に影響を与え、中国の一部の労働者の雇用にも影響する可能性がある」との声も上がる。

▽貿易摩擦は米国国民に「トリクルダウン効果」を与える

米国メディアの分析によると、米国企業や米国の一般消費者が貿易戦争の最大の「被害者」になる。米通商代表部(USTR)が発表した対中課税リストをみると、第1弾としてボイラーや旋盤から工業用ロボット、電気自動車まで818品目・340億ドル分の中国製品が対象だ。そして中国の対抗措置により、大豆農家を含む米国国民も損失を被ることになる。

ロボ・シェーファーさんは米イリノイ州にあるエルパソ・シェーファー農場の4代目オーナーで、兄弟とともに主に大豆やトウモロコシの栽培とアンガス牛の飼育を手がけてきた。アメリカ大豆輸出協会理事会のメンバーでもあるシェーファーさんは、「大豆は列植(並べた状態で植える)するもので、米国で栽培した大豆3列のうち1列分は中国に運ばれる。毎年4回、ワシントンへ出向き協会の会議に出席しているが、今年は47人の理事が一堂に会する中、貿易戦争を懸念しているのは自分だけではなく、他の46人の理事もみなそうだった。アイオワ州、インディアナ州、オハイオ州などの大豆産業関係者も自分たちと同じように懸念している」と話す。

イリノイ州大豆協会のクレイグ・レタジャキク最高経営責任者(CEO)は、「貿易摩擦はドミノのようなもので、一つ倒れれば次々に倒れていき、経済全体が打撃を受けることになる」と指摘する。現在は貿易摩擦に関わる金額が両国経済に占める割合はごく小さいものだが、貿易戦争が『トリクルダウン効果』を生じて、全体への影響が表面的な数字よりも大きくなる可能性がある。政府の税収が減って、学校や医療機関などへの支援が減少する可能性もある」と話す。

それだけではない。米国の今回の振る舞いは一部の米国企業に製造ラインの海外移転を余儀なくさせるとみられる。米国の有名バイクメーカーのハーレーダビッドソンは生産拠点を海外に移転すると発表した。米最大の釘メーカーのミッドコンチネントネイル社は、「トランプ政権が鉄鋼製品への関税を免除しないなら、うちは操業を停止するかメキシコに移転するしかなくなる」と述べた。また50年以上の歴史がある楽器メーカーのモーグ・ミュージックは、米国からの「逃避」を検討中であると発表した。同社の社員と顧客は州議会議員に連名で送った書簡の中で、同社が国内と海外での部品調達のバランス維持にかねてより努力してきたこと、米国のサプライヤーからプリント基板を購入すると、海外産より価格は30%ほど高くなることを訴えた。だが米国で買うにしろ、海外で買うにしろ、プリント基板の部品はほとんどが中国製だ。

「ニューヨーク・タイムズ」によれば、価格という点で米国の消費者に最も影響を及ぼすのはコンピューターとソファだという。コンピューターもソファも新たに購入すれば、ほとんどの米国人にとっては大きな出費だ。10%の関税が上乗せされれば、多くの消費者はより安い商品を探すか、買い控えをするとみられる。店側が利益を減らして関税による損失を埋めるとも考えられない。しかし米国の消費者に他の選択肢はなく、上乗せされた関税の分も代金を支払うしかない。

米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」が16日に伝えたところでは、ボーイング社の最新の予測によると、今後20年で世界の商用機ニーズは4万3千機増加し、価格にして7兆ドルに迫るという。昨年の予測の4万1千機を上回り、このうち7200機は中国に引き渡されるという。英国紙「フィナンシャル・タイムズ」によれば、ボーイング社は水面下で積極的にはたらきかけ、米中貿易戦争がこれ以上エスカレートしないようにしている。米国最大の輸出企業である同社もリスクに直面する可能性があるからだという。

コーネル大学のアイスワルド・プルサット教授(専門は貿易政策。ブルッキングス研究所シニア研究員)は、「世界最大の2つのエコノミーの間で発生した貿易摩擦は、両国間の貿易・投資の流動性拡大の動きをいきなり断ち切ってしまう可能性があると同時に、両国企業が生命線とする複雑なグローバル供給チェーンを混乱させる可能性もある。輸出市場が閉鎖されれば、中間投資が高騰し、供給チェーンが破壊され、米国は多くの経済分野で直接的かつ痛みを伴った苦い果実を味わうことになる。ますます確かなことは、トランプ大統領の過激な貿易措置は米国経済の利益を促進しないばかりでなく、貿易パートナーの報復措置を招き、最終的に大統領が支援するはずだった米国の労働者と企業に損害を与えるだろうということだ」と述べた。(編集:呉双)

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